Federico Durandとは?

federicodurand

 

1976年生まれ。アルゼンチンのブエノスアイレス郊外Munizのアーティスト。 『La siesta del cipres』が日本のSPEKKよりリリースされ話題となり、その後、イギリスのHome Normalから2ndアルバムをリリース。一躍世界から注目を浴びる存在となり、今やアルゼンチン音響界を代表する音楽家である。
アールグレーの紅茶が大好きと語る素朴な人柄同様、彼の音楽は日常や山で採取したフィールド・レコーディングを、ギターなどの楽器と一緒にラップトップで構築したどこか可愛らしい味わいが特徴的な音楽スタイルであったが、近年はラップトップを用いずアナログエフェクターを駆使した音楽に変容するものの、その独特で牧歌的な音楽は現在もさらに磨きがかかっている。

http://federicodurand.blogspot.jp

<Tomoyoshi Dateの手記より>

2010年の5月、当時Facebookが急に普及し始めた頃、Federicoから連絡があった。僕は以前よりSPEKKから出ている彼の作品が好きで、レーベルオーナーの直さんから、僕と畠山くんのユニットであるOpitopeをFedericoも気に入ってくれていることを聞かされていたから、すぐに彼だと分かった。

僕はその頃文京区に住んでいて、その月に知り合う人とは一生の付き合いになるだろうと言われていたので、彼から連絡があった時に、ひょっとしたらこの人とは長い付き合いになるのかなぁと思った時の光景を今でも覚えている。

この手の音楽をやっていると、結構頻繁に海外からメッセージをもらったり、CDをリリースしないか?という依頼が来る。ちょうどその翌月の6月に僕の娘が生まれた。僕は子供の出産までの間に生まれてくる子供のためにCDを作ろうと思っていてちょうどその作品の完成が間近だった。けれどそんな親バカなCDを日本で発売したら、子供も迷惑だろうなぁと思っていたので、ヨーロッパの小さなレーベルからこっそり出そうと思い、畠山くんもCDをリリースしていて、ヨーロッパツアーも企画してくれたルクセンブルグのOwnRecordsからそのアルバムを出そうと思った。するとちょうどFedericoもそこから新作を出したもんで「CDを君のところから出したいと思うんだけどヨーロッパツアー組んでくれる?」って言ったら組んでくれるというのでそこに決めた。

そんなこんなで、Federicoにノリで「ツアー一緒にしない?」って言ったら乗り気になってくれたんだけど、僕はGoldenWeekにしか行けないからそこで「大丈夫?」と聞くと、「大丈夫だと思う」と。「仕事何してんの?」って言ったら、「学校の先生だ」と。。。アルゼンチンはゆるいんだなぁ〜と思っていたら、実は校長先生に「僕の生涯の夢で、人生にとって最も大切な経験になりそうなんです。」と言って涙ながらに頼んだらOKが出たということだった。

フェデリコは詩人でもあって、ヘルダーリンを心から敬愛している国語の先生だ。アルゼンチンでは多くの学校で生徒による教師の人気投票があるらしく、フェデリコは就任以来、毎年二人選出される人気教師の一人として毎年選ばれているらしい。まぁ、彼に実際会って話をすると「そうだろうなぁ〜」という人柄なんだけど、彼は特別なことは何もしていないらしく、「ただコミュニケーションを大切にしているだけだ。」と言っていた。

フェデリコに実際に初めて会ったのは、スイスのジュネーブだった。シャイな彼は初めは少し緊張した面持ちだったけど、喫茶店で座るや否や注文をする間もなく、ゴソゴソと鞄の中からいくつかのカセットテープを取り出して机に並べた。そのうちの一つを取って「これは1970年代のTDKのエンドレステープで、僕はこのカセットが一番好きなんだ。だけどまだ一度も録音はされていなくて、僕のライブではこの音の入っていないテープから流れる音を背景に流して演奏をしているんだ。」と、大切そうにそのカセットテープを抱きしめていた。

まぁそんな人なんだけど、そのツアーの途中に少し日程が空いたので、フェデリコがヘルダーリンの住んでいたドイツのチュービンゲンという所に行きたいと言うので、僕も一緒に着いて行った。そして僕はドイツに行くなら僕にとっての音楽の神様的存在であるステファン・マチューの家に行きたいという話になった。

もちろん、ステファンはフェデリコにとっても神様のような存在で、しかもフェデリコはステファンがアルゼンチンで演奏をした時に諸事情あってステファンと少し話しをしていたので、彼からダメもとで連絡を取ってもらって「是非二人で伺いたいのですが可能ですか?」とメールをしたら、ステファンは心良く受け入れてくれて二人でドイツのザーブルッケンに彼を訪ねていった。

最初に会った時、フェデリコは緊張で1時間ぐらいほとんど何もしゃべらなかった。そして、ステファンの家について僕が日本からのお土産を渡していると、フェデリコが隣で頭を下げながら両手で何かを持ちながらステファンに献上していた。

フェデリコのあまりの硬直に僕とステファンは少し驚いて手の中にあるものを見てみると、それはスイスで僕に出会った時に一番最初に話していた「あの」TDKのカセットテープだった。

 

フェデリコっていうのはそういう人だ。

 

フェデリコを説明するのに音楽の話が全く出なかったけど、彼の音楽は伝わったんじゃないかと思っている。

 

彼のSpekkからの新作。素晴らしい内容。僕は彼の1stが一番好きだったけど、この作品はそれを超えた感じがあります。まさにアルバム全体で聴くべきアルバムと言って良いと思う。2014年の重要盤。

FEDE KK208_artwork

http://naturebliss.limitedrun.com/products/526156-federico-durand-el-estanque-esmeralda-pre-order